WEB拍手過去ログ


第6弾

「くしゅん!」

隣で彼女がくしゃみをした。

「寒い?」

「寒いに決まってるでしょう」

手袋買わないと・・・。

そう言った彼女の手先は真っ赤だった。

白い手なのに先だけが鮮やかな赤で。

俺はそっとその右の手のひらを包むと自分のズボンのポケットにいっしょに突っ込んだ。

「カカシ?」

「こうしたら寒くないでしょ?」




「・・・ありがと」




「今度、一緒に手袋買いに行こう?」




第5弾


「カカシ」

「カカシせんせー」

「カカシティチャー」

何度呼んでも、どんなに言葉を変えてもカカシはこちらに目を向けない。

どうやらカカシは読書の秋ということでさっきから18禁小説から目を離さない。


つまらない


表紙のいちゃいちゃした男女の絵がこのうえなく憎らしい。

「この世からイチャパラなんで消えちゃえばいいのに」

「それはダメでしょ!」

イチャパラのことになると過剰に反応するカカシの態度がますます気に入らない。


「カカシなんて大嫌い」


低い声で言い放つとようやくカカシが私を見た。




「本じゃなくて私を見て?」


>ワガママヒロイン? 



第4弾 カカシ誕生日

side:HEROINE


「カカシ」

名を呼べば、あなたは振り返って。

「なに?」

その顔はいつもと変わらなくて。

「そっか・・・」

やっぱり気付いてないのねと溜息。

「なに?気になるでしょ?」

困った顔のあなたに私は言った。

昨日から言おうと思っていたことを。




「誕生日、おめでとう」




「あ」

カカシは鳩に豆鉄砲でもくらったかのような顔をした。

「もうそんな日か」

と照れ隠しにあなたは頭をかいた。

「やっぱり、忘れてたのね」

「ごめん」

すっかり弱りきったカカシに私は隠し持っていた包みを渡した。




「誕生日おめでとう。カカシ」

「・・・ありがとう」



久しぶりに見れたほんの少し顔が赤いカカシ。


>HAPPY BIRTHDAY KAKASI 9.15



side:KAKASI


なんでもない一日。

そう、思っていたのに。

「カカシ」

呼ばれて振り返る。

「なに?」

いつもと変わりない俺の恋人。

「そっか・・・」

と溜息。何か溜息をつかれるようなことでもしたかと俺は首をかしげた。

「なに?気になるでしょ?」

思い当たる節は何もない。

困った俺に、彼女は言った。




「誕生日、おめでとう」




「あ」

ビックリした。言うなれば鳩に豆鉄砲をくらった感じだ。

「もうそんな日か」

ビックリした次は、俺の誕生日を覚えていてくれたとこが嬉しくなった。

照れ隠しに頭をかく。

「やっぱり、忘れてたのね」

「ごめん」

彼女はちょっと笑うと包みを取り出した。




「誕生日おめでとう。カカシ」

「・・・ありがとう」




なんでもない一日が、一変した。


>HAPPY BIRTHDAY KAKASI 9.15


第3弾


夏の醍醐味は、任務開けにビールを一気のみだと思う。

「っは、おいしー!!」

ぺろりと上唇についた泡を舐める私。

隣のカカシはビール片手に枝豆を食べている。

「今日は疲れたね」

と私はカカシから枝豆を貰う。

塩気のきいた枝豆はとてもおいしい。

マスクを外したカカシの唇はビールと枝豆で赤く濡れてる。

「・・・・・エロイ」

「何が?」

枝豆を口の中に押し出そうとしていたカカシが私を見た。

「・・・・・なんでもないわ」

艶かしい赤に、目を奪われる。

ふいと目を逸らして、残像を消そうと努力する。

「・・・泡、ついてるよ」

「うそ!」

ぺろりとカカシの舌と一緒に唇も触れた。

「ね」と笑うカカシに、私はまた目を逸らす。

「・・・エロカカシ。こんなとこでしないでよ」

呟きは、ビールと一緒に流し込んだ。




第2弾



「・・・カカシ、重い」

「ん〜いいじゃん久しぶりの休みだし」

暖かい昼下がり。本を読む私の背に乗っかる大きい犬。

猫よろしくごろにゃんと擦り寄るが、重い。

「カカシも本読んだら?」

「んー、嫌。かまってよ」

ふぅと私は本を閉じる。

「分かったから・・・」

カカシは嬉しそうに私を抱きしめる力を強くした。

「・・・で、何するの?」

「それは・・・決まってるでしょ」

ぺろりと首筋を嘗められて、私が思わず声を上げるとカカシは私の体の向きを変えて口付けた。


久しぶりにキスをした、暖かい昼下がり。



第一弾



朝日で目が覚めた。

隣のカカシを起こす。

「カカシ、起きてる?」

「うーん、あと5分」

「・・・時間」

時計の針は6時を指してる。

「うん、分かってる」

いつも慰霊碑前に行く時間。

カカシも、勿論私も絶対にその時間は忘れない。




「・・・行ってくる」



憂いを含んだ目。

私は、その表情<かお>を、一番愛してる。


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